自然災害と教訓
災害年表
〈災害年表〉 【】 昭和45年1月低気圧災害
[1970年1月31日〈昭和45年1月31日〉 –

1月30日夜に四国沖にあった低気圧(986hPa)は31日には発達しながら東日本を縦断し、襟裳岬沖へ進み(962hPa)、2月1日には根室付近から千島南部へと進んで動きが遅くなった(968hPa)。 1月30日~2月2日にかけての降水量は、函館106㎜、江差99㎜、森149㎜、室蘭118㎜、倶知安102㎜、小樽95㎜、帯広119㎜、広尾144㎜。函館は1月31日の降水量が90.0㎜に達し、1月の観測史上1位の記録(2018年現在も1位) 1月31日から2月3日の降雪量は、倶知安121センチ、札幌70センチ、北見枝幸89センチに達し、札幌は1月31日に66センチの降雪を観測し、観測史上1位の記録を更新した(2018年現在も1位の記録)。 最大瞬間風速は函館33.4m/s(ENE)、江差33.0m/s(W)、森26.2m/s(E)、寿都31.9m/s(WNW)、浦河31.8m/s、網走26.5m/s(ESE)、釧路30.5m/s(E)、根室30.1m/s(E)。 渡島地方では雪解け水のはんらんや高波による床上浸水が続出した。函館市港町2丁目~3丁目一帯では雪解け水で下水ががはん濫し、床上浸水家屋が続出した。上磯町では社会福祉施設の屋根が強風のため吹き飛ばされた。 今金町では1日から2日にかけて国鉄瀬棚線の運休と国道の通行止めとなり、孤立状態となった。 黄金道路では雪崩が発生し、通行止めとなった。 室蘭市では送電線が切れたため、1月31日9時から全市が停電となり、1日も約1万戸が停電したため、商店など臨時休業が相次いだ。 伊達市では、大雨と暴風により黄金地区などで133棟が床上浸水、ビニールハウスが倒壊、伊達中、伊達高やかなりの住家の屋根が吹き飛ばされた。 白老町虎杖浜では高波が押し寄せ、ドライブイン5~6軒が窓ガラスを破損、物置小屋を流失させるなどした。 釧路では釧路臨港鉄道の線路が千代ノ浦海岸付近で高波にえぐられ、宙づりになった。 様似町幌満では簡易水道の送水管が破壊、140戸が断水した。 日高本線大狩部駅付近でも護岸が高波により決壊し、線路が50メートルにわたって宙づりとなった。 天北線では吹雪と積雪で不通となり、ラッセル車が遭難する騒ぎもあった。 道道札幌-沼田線(現・国道275号)では各所にふきだまりが生じ、十数台の車両が吹きだまりに突っ込むなど、通行不能となった。 厚田村安瀬海岸では道路工事用の火薬庫が高波を受け、ダイナマイト約1万本が流出した。 蘭越町の目名峠付近では、乗用車が雪に埋まり、乗っていた男女二名がCO中毒にかかり、一時意識不明となった。 倶知安中では、1階の教室の窓が雪に埋没するほどの積雪となったため、3日は全校生徒で除雪作業が行われた。 気象庁は2月2日、他の全国各地の被害も含め、この低気圧による災害を「昭和45年1月低気圧」と命名した。 全道の被害は行方不明1名、負傷者16名、住家全壊11、半壊26、一部破壊548、床上浸水807、床下浸水1,962、非住家被害644棟、河川決壊109、道路決壊26、橋流失破損10、堤防決壊3、海岸被害121、港湾被害19、漁港被害82、鉄道被害11か所、漁船被害1,089隻、被災者概数2,116名、被害額75億4千万円。 このほか国鉄列車運休1,110本、青函連絡船欠航71便、フェリー欠航多数、空の便欠航67便、道路不通31日22、1日23か所、送電線の混断線36、配電線の混断線13,253か所、停電およそ70,400戸に達した。

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