『北の災害食』づくり懇談会委員リレーインタビュー
根本昌宏(日本赤十字北海道看護大学看護薬理学領域教授)
Q1 災害食に関わったきっかけを教えてください。
災害食は様々な研究者・実践者が提唱していますが、私自身は、災害食には2009年から取り組んでいます。真冬の北海道で停電を伴う災害が起きたとき、何が起こるか-。寒さは時として人のいのちを奪うこともあります。しかし、私たちが実施している「厳冬期」避難所演習の場面で、温かいスープを食べた後、0℃の体育館の中でもほころぶ笑顔に対面しました。冬の万が一の時にこそ、美味しく温かいものが不可欠だと実感しています。健康にいのちをつなぐために、「非常食」ではなく美味しい「災害食」が求められています。
Q2 現在、取り組んでいることを教えてください。
真冬の避難所演習では食を含む様々な避難所の課題に対して検証作業を進めています。同時に「オホーツクdeあそぼうさい」などのイベントを通じて、遊びながら子どもたちに防災について考えていただく機会を作っています。所属する避難所・避難生活学会では避難生活に関わる全国の専門家が集まり、災害への対処を提案しています。
Q3 最後にレシピコンテストへの期待をお聞かせください。
ご家庭、町内会、職場など様々な立場から「食」を足がかりにして冬の災害を考えるきっかけにしていただければと思います。栄養士さん、調理師さんなどプロから考える『北の災害食』にも期待をしています。日本一の食の宝庫北海道だからこそできる素晴らしい取組みです。179市町村すべての皆さまのご参加を願っております。
貫田桂一(ヌキタ・ロフィスド代表&フードディレクター)
Q1 災害食に関わったきっかけを教えてください。
あるとき、災害時に地元にあるもので避難食がつくれないか依頼があったことがきっかけです。
Q2 現在、取り組んでいることを教えてください。
(1) 地域食材を活用した災害食「ご当地・防災グルメ」の提案
(2) 学校・地域へ子どもでも調理しやすい防災食の指導
(3) 防災専門家との連携・コラボで防災訓練等への意欲向上の3点を主に行っています。
Q3 最後にレシピコンテストへの期待をお聞かせください。
地域の見知らぬ同士も「楽しい備え」ができるようになることを期待しています。
百々瀬いづみ(札幌保健医療大学栄養学科准教授)
Q1 災害食に関わったきっかけを教えてください。
2000年の有珠山噴火時に、管理栄養士としてボランティアに参加し、食事提供の業務に携わらせて頂いたことがきっかけです。
Q2 現在、取り組んでいることを教えてください。
これまで、大学の教員として、震災ボランティアを希望する学生の支援や、被災地を応援するレシピ集作りなどに学生と一緒に取り組んできました。
Q3 最後にレシピコンテストへの期待をお聞かせください。
北海道で入手できる食材は多くあると思いますが、そんな身近で当たり前のような食材に道民の皆様が改めて気づいたり、それらの食材の新たな魅力を発見してくださるなど、そんな興味深いレシピと出会えることを心から期待しています。
佐々木貴子(北海道教育大学教育学部札幌校教育学部教授)
Q1 災害食に関わったきっかけを教えてください。
阪神・淡路大震災が発生した時、私は中学校の家庭科教員をしていました。当時、使用されていた中学校家庭科の教科書には防災の視点は薄く、災害食に関する記述もありませんでした。このことを受けて、防災の視点を取り入れた家庭科教育のあり方に関する研究を始めたのが、きっかけです。  
Q2 現在、取り組んでいることを教えてください。
小・中学校の炊事遠足などで、災害炊飯袋(ハイゼックスなどの高密度ポリエチレン)を使用したご飯炊きを推奨しています。飯ごう炊さんよりも手軽で、防災教育にもつながると好評です。
Q3 最後にレシピコンテストへの期待をお聞かせください。
私の祖母や母をみると、北海道の冬を越すための多くの知恵を持っていたように思います。何でも手に入る便利な世の中になり、その知恵が失われているように思いますが、これまでの知恵とこれからの知恵がコラボレーションすると、どんな知恵になっていくのか、とても楽しみです。